Travel Note

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村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』2015年。

先に言っておきますが、私は、別に村上春樹ファンでもなんでもないです。それどころか、パラパラとくらいしかエッセイを読んだことがないです。小説に至っては、一冊も読んだことがありません。別に嫌いというわけでもないですが、文体が合わないのと、みんな読んでるんだから、私がわざわざ読むこともなかろう、ということで、まったく読んでいません。

 

ま、それはともかくとして。

 ラオスにいったい何があるというんですか?』というこの本のタイトル、取り方によっては、ラオスの人たちに喧嘩を売っているような、なんでもわざわざあんなところに、というニュアンスを含んだタイトルで、なかなか面白いと思いました。つまり、少なくともある程度、ラオスについての情報を知っていないと、言えないセリフなのです。つまり、そもそもラオスのことを何も知らない人、例えば、ほとんどの日本人からすると、このセリフは普通は出てこないだろうと思われます。そもそも国の名前として認識しているかどうかもだいぶ怪しい。

Lao New Year


なお、このセリフはベトナム人のものだと書かれています。ベトナム人たちからしたら、ラオスは山の向こうの隣国なので、知らないということはないはずですが。ただ、山の向こうなので、文化的には少し差があることからも、心理的に親しいわけではないということはあると思います。ベトナムはどちらかというと中国の影響下の国ですが、ラオスはちょっと違います。

 

ラオスの文化的近さは、タイの方が圧倒的です。実際、タイ人からしてみたら、ラオスは物価の安い、タイ語もそこそこ通じる場所なので、ラオスではタイ人をよく見かけました。
そもそも首都のビエンチャンからしたら、メコン川の南向こうはもうタイなんですよね。

メコン川

国境のメコン川。川の向こう側はタイです。


もちろん、ラオスには何もない、ということはないです。村上が滞在していた古都ルアンパバーンそのものも世界遺産に登録されているし、風光明媚な場所はいくらでもあるのでたいくつということはありません。もっとも海はありません(川はある)。ついでながら、電車もほとんどないです。


本来なら欲しくもない余分なものもあります。つまり、米軍がベトナム戦争の時に落としていった爆弾が、不発弾として未だ眠っていたりします。一説によると、2億4千万の不発弾が、未だに残っている、とのこと。

 

世界的に有名な村上のこのエッセイがラオ語まで翻訳されてラオスの人々に届くのかどうかは、さすがになんとも言えませんけれど、村上はそれなりにルアンパバーンでの滞在を楽しんでたようで、静かな街ですけれど、ここに一人でも多くの人が訪れたらいいな、とは個人的に素直に思います。

ゼロから話せるラオス語 CD付

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